温泉旅館 バンザイ!

世界に誇れる「温泉旅館」にしたい!

ハイクラスという罠

「高級旅館」という言う定義は難しい。

それを測るものとしては、

1、一般的な認知
2、価格
3、顧客評価

が一般的であろう。

高級旅館と言った場合には、
必ずどれかの「ハイクラス」ならしめる物差しがある。
おおむね、
上の3つが揃っていれば、高級旅館と言っても良いし、
逆に無くてもいけない。
また、何かが欠けると、
バランスが悪く永続的な運営はできない。

この3つのバランスを最適化して安定させる事が
マーケティングの役割となる。
が、
それが相当難しい。

顧客満足をある一定以上保つための必要なコストがあるため、
低価格緒の高級旅館は、存在し得ない。

ターゲット層への一般家的な認知がなければ、
高級旅館としての知られる事は無いため、
集客のための投資と認知形成の時間が必要になってくる。

一般的に高い認知があれば、
期待値も高くなり、顧客満足の評価も難しくなる。




全国的に著名な高級旅館は多いがその多くは、
顧客満足に一喜一憂している施設は少ない。

やはり、自社が持っているサービスに対しての自信があるので、
お客様の口コミや意見によって、左右される事も無いし
変えようとするつもりは無いだろう。

それは「もてなし」という客と主人の信頼関係で
成り立っているからであろう。

なので、
高級旅館だから、最高のサービスがあるとは言いがたくなるので、

1、有名旅館
2、高額旅館
3、ブランド旅館

などと物差しを明確にしたショルダーとしての旅館表記を
して行くのが、顧客目線の上では必要と考えるところだ。.


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必要経費であり必要悪でもある

温泉旅館でだけではなく、宿泊産業全般に言える事だが、
販売手数料をどう考えるのかは重要です。

一般的な旅行会社の販売手数料は、
ケースに寄って10~25%くらいの幅はあるが、
卸し販売価格(上代ではなく)15%程度が一般的で、
20,000円で代理店に卸せば、3000円は差し引かれる構図。

旅館は、手残りを考えれば、
消費者に20000円で買ってもらえるサービスを
17000円で利益を出せるようにしなければ経営はできなくなる、
と言う事です。

これが、ネット販売だと手数料は8~15%と割安になるので、
供給者も手数料の低いネットに流れて行くことになって、
旅行会社も業界再編となっている。



さて、
ここで重要なのはプライシングという価格設定だ。

当然、原価から積み上げて
適正な利益を残すようにしていくことも重要だが、
同じ地域や近隣の競合旅館が、販売している価格を知る事や、
消費者にどの程度受け入れてもらえるのか、
またどんなニーズがあるのか、
など多くの事を踏まえる事が重要です。


インバウンド需要で、宿泊需要全体が伸びており、
好調な決算を出す温泉旅館も多いと思いますが、
市場が拡大すれば、参入も増えて価格も低下して行き、
すぐに競争は激しくなって、淘汰が始まって行くことになるのです。


サービス商品としての自館の位置づけを決める。
そして、
販売チャネルの状況を踏まえ、手数料を見越し、
商品の造成と価格設定をすすめて行くことが
旅館経営の中では欠かせない事かと思います。

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ワン・トゥ・ワン

宿泊産業だけに限らず、
あらゆる業界の多くの会社で、
消費者、ユーザー、利用者、お客様、顧客から、
色んなクレームが日々寄せられている。

宿泊産業は、一回のサービスにおいての時間的な拘束が長いので、        サービス業の中でもそのクレームの種類が多岐にわたる。

料理がまずい、
部屋が汚い、
風呂がいっぱいだ、
ゲーム機が故障している、
隣の部屋がうるさい、・・・・

お客様の利用目的によって、その期待値も違うため、
そのクレームのレベルもまちまち。

利用の不満を、クレームとして直接施設に伝えて頂くことは、
非常に有効な情報として活用でき、
日頃気付かなかった点等もあり、改善に役立てられる。



しかし、ネットエージェントの口コミは、
必ずしもそうではない。

利用者からの感想を集約して行く事で、
その施設のサービス品質やレベルを見える化し、
お客様が価値判断しやすい環境を作っている。

そのため、
お客様に取っては、購買時の判断材料が増えることになり
有効に活用できるが、
施設側にとっては、非常に取り扱いにくいものだ。

その口コミの信憑性を明確に担保するものはないので、
場合によっては「風評被害」もでてくることもある。

そのため、宿泊産業ではどこまで顧客情報を入手できるのか、
と言う事が重要になって来る。

宿泊履歴や消費金額、お客様の料理の好みや、病歴、
家族構成や、利用動機など、
あらかじめ多くの情報があれば、
事前に、お客様なりの対応が可能になる。

ワントゥワンのマーケティングを実践すれば、
あらゆる面で効率化でき、収益強化にもつながって行く。


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人件費の根本的な価値を考える

何度もここで書いてきたことですが、
温泉旅館は、人の手に寄るサービスがもっとも顧客満足に影響するので、
サービス業と考えるのが当然と考えています。

施設のクオリティや機能そのものを売りにする装置産業
という視点で見ては、どうしても顧客視点を見失う可能性がある。

高額な投資
 ⇒品質維持のためのメンテナンス経費
 ⇒そのための人件費
また、高額借入
 ⇒長期借入による償却や利息負担
 ⇒高い損益分岐
 ⇒高い価格設定

 

こうはならずとも、
温泉旅館という成熟市場の中で競争力を持つためには、
高い品質を維持しながらも、競争力を持つ事が基本なので、
顧客視点以前にも高いハードルが出て来る。


サービス業、特に接客業は「人」が生命線。

「接客」がコアコンピタンスとも言えるリッツカールトンは、
施設内での案内表示を意図的に少なくしている、と言う。
それは、
お客さまとのタッチを増やすためだと言う。
そのタッチが、CSを強化して行く最大の武器としているからだ。

一方で、収益を上げて行くには
CSを高め売上を伸ばし、
原価/経費を押さえて行かなければならない。

F/L抑さえながら売上を拡大して行くためには
当然の事ながら、
オペレーションを改善するしか無く、
それはすなわちサービス(商品)を変えて行く事に他ならない。

と言うことで、
人件費の圧縮を進めた場合、
従業員マインドの低下、
⇒ ESの低下 
⇒ 接客スキルの低下
⇒ 品質の低下
⇒ 価値の低下
となって行くことにつながって来る。


人件費を削減/圧縮すると言う事はすなわち、
「新しい商品を創る」と言う思想で進めなければならず、
そのためには、
新しいコンセプトから構築し、
最終的にはそのためのオペレーションを確立する必要がある。

人件費を圧縮するということには、
そこまでの影響があることを知っておく必要がある。


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若年層の取り込みが発展の鍵

春先は大学生が休みに入ることもあって、
温泉旅館にも多くの若年層が押し寄せている。
もちろん高級旅館ではなく
格安バイキング旅館に、ですが・・・。

有名温泉地には、
必ずその歴史を担って来たその温泉地を代表する老舗旅館がある。
それは、必ずと言っていい程、
「○○温泉と言えば、○○(屋号)」という
ブランド力を持っている。


しかし、その老舗旅館は他多少普段よりも安い価格になっていても
大学生が気軽に利用できる価格ではない。

この一点を考えてみても、
格安バイキング旅館は、
若年層の温泉旅館離れを食い止めている機能(?)
(温泉旅館のこれからの顧客を育成する機能と言っても良いかもしれませんが)
を持っていると言える。

サラリーマンの平均所得も下がっていく時代に、
大学生が簡単に財布の紐を緩める事はない。



一方で一部の学生は、
卒業旅行に海外と国内の2回行くのが当たり前、と言う話も聞く。

また、
学生の多くが奨学金を受けながら大学に通っており、
彼らの経済的な負担は、
かつて親が送って来た大学時代とはまた違っている。

また彼らは、シニア層のように
いろいろなこだわりや、価値を求めるとことも少ないし、
ましてや純粋に温泉保養を楽しむという目的ではなく、
懇親、交流、記念、観光、褒美、など、
温泉ではない別の目的が動機になっている部分が強い。
そして、
基本的には価格パフォーマンスを重視しており、
ネットで十分比較検討している。

老舗の温泉旅館であれば、
その知名度を利用して、
若年層向けに価格を下げたプランを打ち出せば
利用するチャンスはかなり広がるのかと思う。

 

温泉地がこれからも発展して行くためにも、
温泉地を挙げて、若年層の取り込みにも意識を向けることも
今後は必要ではないだろうか。

 

ソーシャルデザイン実践ガイド――地域の課題を解決する7つのステップ

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空間とコンテンツの力関係

最近でこそ、料金に色々と違いは出てはいるが、
映画、特に新作映画の劇場公開(ロードショー)は、
つい数年前までは、どこの劇場で何時観ようが1800円という一律価格であった。

面白い事に、この価格は、 

3時間ほどある長編大作でも、

70分程度のアニメ映画でも同じ1800円。
つまり、
映画の長さ、尺で決めている商品ではない、
と言う事だ。

昔ながらの場末にある空調もままならない映画館で観ても、
都心にある最新のシネマコンプレックスの抜群の環境の中で観ても、
同じ1800円。


と言う事は、空間の品質や場所などのアクセスの問題でもなく
価格が根付けられている非常に珍しい構造であった。

これは、かつてより、
興業側(映画館側)よりも配給側(映画会社側)の方が優位に居た
歴史の名残だ。
今では興行側の発言力も備わり、配給会社に対しての向き合い方が、
大きく変わったので、
作品よりも観る環境の差による価格差が出る構造になって来ている。




この映画業界と温泉旅館業界は、非常に似ている。
これまでは、
お客を送って来た旅行会社の方が、受け入れる旅館側よりも強い
と言う構造であったが、
インターネットの発達で大きく様変わりした。

今では、旅館やホテルは直接集客できるインフラを活用する事で、
マーケティング力を持てる環境になっている。

だから、以前のように「安くお得な商品造成のため」に、
おみやげやビールの付帯サービスをしなくても、
自らが努力をする事で、お客様を大きく伸ばして行く事ができるし、
手数料も支払わずに済む事にもなる。


空間を売る「ハコ」もの産業は、
その稼動を上げる事だけに目を奪われると、
利益が無くなっているケースもあるのだ。

問題は「ハコ」の中身と、集客の方法を考え、
時には、非常手段を講じることも辞さない覚悟で、
その取引のフェアーなバランスを見ておかなくてはならない。

 

映画・映像業界就職ガイド 2011 (キネ旬ムック)

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日本の観光産業はもっと伸びる。

アメリカのメガバンクの投資アナリストで
かねてより日本の観光立国を提言しているイギリス人デービッド・アトキンソンが、
最近著した本
 
「イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る」
 
を読んだ。

もちろん、
よくある「日本文化」礼賛の外国人、
というレッテルが貼られているかもしれないが、
これまでの、
「日本が大好き」だとか気に入ったからだとかという以前に、
日本を客観的に知っており、
日本を内側からも理解している外国人の一人だと思う。

彼のこれまでの
アナリストとしてのキャリアに中から見た日本の弱点を
モノの見事に指摘しており、
自身が経験し、見聞きしていた実態を、世界的な基準との違いの中で、
改善点として提言している。

私自身が経験してきた、外資系会社と日本企業との間に生まれるギャップや
根本的な違いも指摘しているので非常に勉強にもなる。

内容には触れませんが、
彼の母国であるイギリスが
サッチャー政権自体に強行した文化財保護政策が、
後に英国の「観光立国」としての地位を確実に築きあげ、
財政に大きく貢献することになった点などは、多いに見習うべきと。
 

 

 
そして日本の観光資源の価値を、国がないがしろにしている現実や、
観光立国している諸外国との政策や取り組みの差を
判りやすく解説している所も興味深い。

いまでこそ、日本はインバウンドと騒いではいるけれど、
中国人は観光ではなく買い物に来ているだけであって、
そこには文化交流の思想は、感じられない。

温泉文化、という日本古来の文化を今に伝えている温泉旅館が、
これからどこに目を向ければ良いのかを
考えるきっかけになる一冊だと思う。

 



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